中国 九寨溝・黄龍通信

2016年6月
神原克収

目次


1.いきなりの遅延の洗礼 2.パンダあれこれ
3 九寨溝 4 九寨溝は工事ラッシュ
5 黄龍 6 都江堰
7 見応えある少数民族ショウ 8 四川料理は辛い!
9 成都の交通規制 10 空港での荷物検査(完)


1.いきなりの遅延の洗礼
 
            椅子に座れない人は立ったり床に座り込んだりして待っている

 久しぶりにパックツアで出掛けた。行き先は中国の九寨溝と黄龍である。以前から一度は行ってみたいとチャンスを窺っていた。パックツアは忙しいと覚悟はしていたが、予想通り大変忙しい旅であった。でも九寨溝とか黄龍に行くにはパックツアに限ると感じた。物凄い人出で、個人で行ったらとても満足に観光して廻ることは不可能であったに違いないと感じた。
 行きは上海経由成都まで飛行機である。上海までは僅かな遅れで着いたのだが、そこから成都までが4時間半遅れ、成都のホテルに着いたのは朝の4時であった。航空機の遅延は珍しいことではないが、遅延に対する航空会社の対応には「さすが、中国」と感じさせられた。
 空港内に表示される出発表示板には予定時刻を1時間過ぎても何の表示も出ない。1時間半経過した時点で「遅延」の表示が出た。しかし、遅延理由や出発予定時間は一切表示されないし、係員に訊いても「判らない」の一点張り。当然のこと(?)ながら、お詫びの放送も一切なし。
 出発時間を2時間くらい過ぎた頃、周辺の乗客があちこちで弁当を食べだした。当初はどこかの団体の添乗員が手当てした弁当だと思っていた。しかし誰かが「弁当を配っているらしい」と言うので係員のところに行き、「弁当をくれ」と言ったら、カウンターの上に無造作に5~6個の弁当を置いた。放送で弁当を配るとは一切言わず、要求しなければ出さない、というのも中国らしい、と変に感心した。
 近年国内線の遅延は常態化しているらしく、これだけの遅延が出ても特に苦情らしきものは誰も言わず、そういった面では中国の「成熟」を垣間見た気がした。

殆どの便が「遅れ」「キャンセル」「搭乗口変更」の表示が出ている 待合所は満杯

2.パンダあれこれ
 
                       パンダの放し飼い

 成都は四川省の首都でパンダで有名である。成都パンダ繁育センターにパンダを見に行った。平日の雨の日にも拘わらず凄い人である。見るものと言えば飼育中のパンダの放し飼いを2ヵ所で見て、その後飼育されている状況を見るくらいのもの。パンダの赤ちゃんの扱いを見ていると人間以上に手厚い保護を受けていて、これでは野生に戻すことは不可能ではないかと素人なりに思った。
 ここで聞いた話では現在中国には1,900頭のパンダがいて、80%は四川省に生息しているとのこと。パンダは繁殖力が極めて弱く、人間が保護し、人工授精で繁殖の手助けをしないと絶滅するらしい。
 パンダを見ながら釈然としない気分になった。理由は日本がパンダに支払っているレンタル料である。日本が中国に支払っているレンタル料は一頭1億円程度らしい(東京は2頭で8、000万円と言う記事もある)。レンタル料を調べてみると色々な数字が出てくるので、本当のことは定かではないが、当らずといえども遠からずであると信じている。
 腹立たしいのは日本で繁殖したパンダについても所有権は中国が握っていて、ある資料によるとレンタル料は親パンダは100万ドル/年で生まれたパンダは60万ドルとのこと。更に日本で飼育しているパンダが老衰以外で死んだ場合は賠償金を支払う契約になっているようだ。
 あれこれ考えながらパンダを見ていたが、決して愉快な気分にはなれなかった。

 
          保育器の中の赤ちゃん             飼育員に抱かれているのは赤ちゃん

 
            パンダ繁育センターにて            雨の中平日にも拘わらず長蛇の列

3 九寨溝
 九寨溝は標高2,000-3,400 mに大小100以上の沼からなるカルスト地形の湖水地帯である。
同様な景観はクロアチアのプリトヴィチェ国立公園、アメリカのイエローストーンでも見られる。
景観と規模ではここ九寨溝とプリトヴィチェ国立公園が群を抜いていて甲乙付け難い。強いて個人的な好みで言えばプリトヴィチェ≒(>)九寨溝>イエローストーンとなろうか。
 九寨溝の最大の魅力は透明度の高い湖水、吸い込まれるような濃い青色やコバルトブルーの水、光の具合で刻々変化する湖水の色などが延々と続くことである。大小無数の滝も大きな魅力である。
 広大な園内をバスで移動しながら鑑賞するのだが、凄い人出で切符の購入からバスへの乗車、途中下車してから再乗車等々、これを個人でこなすのは至難の業である。普段は毛嫌いしているパックツアだが、九寨溝観光はツアで来るのがベストである。パックツアなら園内のバスも貸切で行けるので、バス乗り継ぎの時間が大幅に節約できる。
 九寨溝の素晴らしさをお伝えする表現力は持ち合わせていないので、写真でご確認下さい。
                      







4 九寨溝は工事ラッシュ
 九寨溝の街は工事ラッシュである。理由は新幹線が来るからだ。玄関口の成都から現在はバスしかなく、約8時間くらいかかる。これが新幹線なら2時間で行くことが出来る。
バスで向かう道中あちらこちらで新幹線の工事現場と遭遇する。開通は3年後の2019年。
 ホテル、レストラン、土産物店、劇場、マッサージ店等々が新幹線による観光客獲得を睨んでいることは間違いない。
 しかし、現在でも観光客が押し寄せ混雑が酷いのに、この上更に混雑が酷くなれば収拾が付かなくなるのではないかと心配になる。この疑問をガイドにぶつけてみた。答えを聞いて納得した。
 九寨溝の「寨」は村という意味で、このように美しい自然・景観を持った村は9つある。
九つの村の景観を総称して九寨溝と言っている。現在はそのうちの3つしか開発が出来ていない。今後順次開発・整備が進めば観光客増を吸収することは充分可能である、との説明。ではその他の村の開発は進んでいるのか?と訊いたが良く解っていない様子。それに
しても中国は広い!
                      
着々進む工事

5 黄龍
 九寨溝と並んで人気の観光地は黄龍である。黄龍は九寨溝の南に位置し、直線距離で60Km。車で120Kmと近い。標高も九寨溝は2,000~3,400 m、黄龍は3,150~3.600 mと共に高地に有る。昔(2006年以前)は3,150 mの麓から歩いたが、現在では3,500 m地点までロープウエイで登ることが出来る。黄龍も九寨溝と同じくカルスト地形であるが両者には大きな違いがある。九寨溝は広くバスで移動するが、黄龍は狭く徒歩での観光である。
 木道の遊歩道が整備されていてとても歩きやすいが、富士山の九合目くらいの高さなので高山病の心配をしながらの登りは結構きつい。下りも膝への負担が大きく、お世辞にも楽とは言えない。今回は家内が膝を痛めていて治療中だったため心配したが、どうにか最後まで歩き切れてヤレヤレであった。
 景色は九寨溝に勝るとも劣らない素晴らしさではある。ここでも下手な表現は止めて写真で素晴らしさをご覧頂きたい。
 類似のものとしてはトルコのパムッカレやアメリカのイエローストーンがある。個人的な好みで言えばパムッカレ>黄龍>イエローストーンの順になる。
 高地ということで一人に一本酸素ボンベを支給された。家内ともども酸素ボンベを必要とする状態ではなかったが、体験のため2 人で1本使ってみた。しかし、使ったからと言って楽になったという自覚は全くなく、いざという時どの程度効果を発揮するのかよく判らなかった。









6 都江堰
  成都からバスで1時間のところに秦時代の水利・灌漑施設がある。都江堰で2,270年前に造られ現在も重要な役割を果たし続けていて、世界遺産に登録されている。
 当時岷江の氾濫による洪水から守り、同時に周辺一帯の荒れ地に灌漑用水を送って耕作地に変える為に造られた。
 解説によると川に中の島(下図4)を人工的に造り、水量の多い時は本流(同3)に多く流れ、水量の少ない時は灌漑用の支流へ多く流れる。また、支流が土砂で埋まらなう下図6の地点で遠心力を利用して土砂を本流側に振り向ける仕組みとのこと。その仕組みは理解し難いので、エクスペディアの判り易い表記を拝借した。

都江堰の構造。中央の中州(4)が人工の堤防で、先端の「魚嘴」(2)で川を左右に分水する。左(3)が岷江流、右(5)が灌江であり、「飛沙堰」(6)で土砂を灌江から排出し、「宝瓶口」(8)から灌江の水を右下の農業用水へと導く
(以上エクスペディアの説明)


2,300年も前にこれだけスケールの大きい発想をしたこと、道具類のない時代にこれだけの工事を完成させたこと、それが幾度か襲った地震や天災を乗り越え今日まで機能していること、どれをとっても驚き以外の何物でもない。
 台湾の烏山頭ダム(日本人技師八田與一が90年前に造った)も凄いが、都江堰を見るとその偉業が霞んで見える。


当時の工法を再現して展示


左から人工的に造った中洲  中洲の上流側の先端「魚嘴」 魚嘴の部分写真

7 見応えある少数民族ショウ
 パック旅行のオプションは旅行社の利益源で高いというイメージが強く、今まで余り参加しなかった。今回「チベット族民族ショウ」と「川劇ショウ」(川劇とは四川省の劇という意味)の2回で、料金は1回5,000円×2回=10,000円と少々高い。ガイドの説明を聞いて行く気になった。
 結果は行って大正解!素晴らしい内容で10,000円の値打ちは十分あった。特にチベット民族ショウは良かった。
①メンバーはプロ集団で歌や踊りの基本は当然のことながらプロレベル。特に歌の声量は凄い、の一語。その理由は草原民族の特性として大声は生活に欠かせない必須の能力で子供の時から鍛えられている為。
②舞台作りは大道具・小道具に映像技術を駆使した大掛かりなもの。
③ショウを通じてチベット文化の何たるかが相当イメージ出来る内容であった。
④チベット民族は各地に分散していて同じチベット族でも衣装は地域ごとに異なる。その衣装を次から次へと舞台で見せてくれ、実に楽しかった。
⑤ヤク踊りは出色であった。




チベット族民族ショウの一場面(左上がヤク踊り)

 四川料理は辛い!
 日本でも四川料理はおなじみの中華料理である。今回本家本元の四川料理を食べる機会があった。やはり辛い。とは言っても旅行者用に若干辛さを調整したものとのこと。地元の人はもっと辛いものを好ん食べるらしい。現に地元民の食べているのを覗き見したら料理が赤くなるくらい沢山の唐辛子が入っていた。見るからに辛そうな感じだが、彼等は平然と食べていた。この赤さをみたらいくら本場の四川料理でも手が出せない。
 四川料理の本場、成都は盆地で高温多湿な土地柄である。こうしたと所で健康を保つには発汗作用のある唐辛子を食べて、汗を沢山かくことが有効とされる(異説もあるらしい)。これが四川で辛い料理がまれた理由である。そう言えばインドやタイでも香辛料の効いた料理が多い。(写真はウイキペディアからの拝借)




9 成都の交通規制
  成都は三国志で有名な蜀の都のあった街である。ネットで調べると人口は1,400万人、市街区域だけでも800万人と大都会である。大都会にしては緑の多い大変きれいな街である。これだけの街なら日本の在員も沢山いるに違いないと思ってガイドに訊くと僅かに300人しかいないという。因みに上海には10万人駐在しているとのこと。
 僅かな滞在で街の様子も殆ど判らないが、朝夕の渋滞は結構酷い。その対策として取られているのが車の乗り入れ規制である。街中で写真のような看板を見付けた。これを見ると車ナンバー末尾の数字で規制していて、タクシーやバスを除いて毎日20%の車が市内への乗り入れが規制されている。どうしても乗らなければならない場合は申請し、200 元(3,500 円)払えばOKだが、違反点数は加算されるらしい。
 無届け違反者はどうなるか?即刻免停とのこと。ここまでやれば幾らマナーの悪い人でも従わざるを得ないだろう。


10 空港での荷物検査
 成都国際空港で新しい荷物検査の仕組みに出会った。
普通チェックインする際荷物を預ける。その際「危険物はないか?刃物はないか?水は入っていないか?」などと訊かれ、「ない」と言えばそのまま預かってくれる。その後にどのようなレベルの検査をしているのか判らないが、殆どそれでお終いである。
 成都では預けるまでは同じだが、その後にかなり入念なチェックをしているようで、少しでも不審なものは全て開封検査をするようだ。その際本人に立ち会うよう求められる。
 今回20人参加のツアであったが、チェックイン時にガイドが走り回っている。理由は開封立会を求められた人を探して連れて行っている。20人のうち4人が開封検査となった。
 面白いのは要検査の人は写真のような表示が出ることである。ピンボケ写真で申し訳ないが、画面左に便名、右に要検査の人の名前が表示される。しかしその仕組みが判らないため、折角表示されていても何のことか判らず、結局ガイドが走り回ってその人を検査所まで連れてゆく羽目になる。今回は現地ガイドが付いていたが、個人旅行の場合は荷物検査が済むまで足止めするのだろうか?そうでなければマイクでいちいち呼び出していたのでは時間が掛かって仕方がない。更に言葉が判らない人もいるだろうしその辺の対応も気になる。





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